共同住宅の一室をフリースクールに。第一種低層住居専用地域でもできる?【審査の現場から】

窓辺の机と椅子 審査の現場から

 今日は、用途変更の相談です。共同住宅の一室を、フリースクールとして使いたいというお話でした。

今日の相談

  • 第一種低層住居専用地域内にある共同住宅
  • 建物は3階建ての耐火建築物で、使いたい住戸は3階
  • この一住戸を、フリースクールに用途変更できるか

用途地域の制限は法第48条

 第一種低層住居専用地域に建てられる建築物は、法第48条第1項と別表第二(い)項で決められています。用途変更の場合も、法第87条第2項でこの規定が準用されます。

建築基準法 別表第二(い)項(抜粋)

第一種低層住居専用地域内に建築することができる建築物

(第一号~第三号 略)

四 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館その他これらに類するもの

(以下略)

 相談のフリースクールは、自治体で学校として認定されているとのことでした。なので、学校等に該当します。第一種低層住居専用地域でも、建てられるという結論になりました。

学習塾として考えると、建てられない

 ここで、もしフリースクールを「学習塾」として検討してしまうと、話が変わります。

 第一種低層住居専用地域で学習塾ができるのは、別表第二(い)項第2号の兼用住宅の場合です。

建築基準法施行令 第130条の3(抜粋)

法別表第二(い)項第二号(中略)の規定により政令で定める住宅は、延べ面積の二分の一以上を居住の用に供し、かつ、次の各号のいずれかに掲げる用途を兼ねるもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が五十平方メートルを超えるものを除く。)とする。

(第一号~第五号 略)

六 学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設

(以下略)

 共同住宅の一住戸を丸ごと学習塾にするのは、兼用住宅ではありません。なので、学習塾として考えると建てられない、ということになります。

 同じ「子どもが勉強する場所」でも、学校に当たるのか、学習塾に当たるのかで、結論が逆になるのです。

3階を学校にするときは法第27条

 もう1つ、忘れてはいけないのが法第27条です。学校は別表第一(い)欄(三)項の用途で、(ろ)欄の「3階以上の階」をこの用途に使う場合は、法第27条第1項第1号に該当します。

建築基準法 第27条第1項(抜粋)

次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その特定主要構造部を(中略)政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて(中略)政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(中略)を設けなければならない。

一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(中略)を除く。)

(以下略)

 今回の住戸は3階なので、この規定がかかります。今回の建物は耐火建築物なので、主要構造部の基準は満たしています。もし木造の共同住宅だったら、3階を学校にするのは簡単ではなかったと思います。

学校のよいところ

 学校には、ほかの特殊建築物と比べて、規定がゆるやかになっているところがあります。

  • 内装制限:学校は、原則として内装制限の対象外(令第128条の4)
  • 非常用の照明装置:学校等は設置が不要(令第126条の4第3号)

建築基準法施行令 第126条の4(抜粋)

(前略)非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。

(第一号・第二号 略)

三 学校等

(以下略)

忘れずに確認したいこと

  • 行政庁ごとの独自規定:特定行政庁によっては、条例などで学校についての独自の避難・防火の規定を設定していることがあります。確認を忘れずに。
  • 管理会社:建築基準関係法令はチェックできても、それだけでは足りません。近隣トラブルを防ぐためにも、共同住宅の管理会社に確認しておきましょう。
  • 消防設備:要求される消防用設備等については、管轄の消防署へ確認しておきましょう。

審査する側のひとりごと

 フリースクールは、施設によって位置づけがさまざまです。学校として扱えるのか、学習塾なのか、それ以外なのか。ここを最初に整理しないと、用途地域の判断から先に進めません。

 用途地域の話は、#18でも書いています。よかったらそちらもどうぞ。

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