新シリーズ「検査済証がない建物」はじめます
今日から、審査の現場でよく出会う「検査済証がない建物」の話を書いていきます。
ただ、この話はとても長くなるので、小分けにして、思いつくままに1記事ずつ書くことにしました。順番が前後したり、話が飛んだりすることがあるかもしれません。すぐに続きを書けないこともあると思いますが、気長にお付き合いいただけたらうれしいです。
検査済証とは
建物を建築して工事が完了したら、完了検査を受けます。流れは次のとおりです。
- 建築主は、工事を完了したときは、4日以内に検査を申請しなければならない
- 建築主事等は、申請を受理したら、7日以内に検査しなければならない
- 建築基準関係規定に適合していることを認めたら、検査済証を交付しなければならない
建築基準法 第7条(抜粋)
建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事等の検査(中略)を申請しなければならない。
2 前項の規定による申請は、第六条第一項の規定による工事が完了した日から四日以内に建築主事等に到達するように、しなければならない。(以下略)
4 建築主事等が第一項の規定による申請を受理した場合においては、建築主事等又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員(以下この章において「検査実施者」という。)は、その申請を受理した日から七日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。
5 検査実施者は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。
検査済証は、その建物が完成した時点で、建築基準法などのルールに適合していたことを示す大切な書類です。
古い建物を調べてみると……
ところが、古い建物の増築などをするために調べてみると、検査済証がないことがあります。
増築などをするときは、新しくつくる部分だけでなく、もともとある部分(既存部分)も法に適合していることが必要です。検査済証があれば、完成した時点では適合していたことがわかります。でも、検査済証がないと、それを確かめる手がかりがありません。ここから、いろいろな悩みが始まります。
既存建築物の現況調査ガイドライン(第5版)「1.はじめに」より(抜粋)
既存建築物の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替(以下「増築等」という。)又は用途変更を行おうとする場合には、当該建築物について増築等又は用途変更を行う部分のみならず、増築等又は用途変更を行わない既存部分も併せて建築基準法令の規定に適合している必要があります。
国の「既存建築物の現況調査ガイドライン」
こうした建物の調査の方法について、令和6年12月に、国から「既存建築物の現況調査ガイドライン」の第1版が出されました。その後も改訂が続き、令和8年9月に第5版が出されています。
| 版 | 時期 |
|---|---|
| 第1版 | 令和6年12月 |
| 第2版 | 令和7年3月 |
| 第3版 | 令和7年11月 |
| 第4版 | 令和8年3月 |
| 第5版 | 令和8年9月 |
2年足らずで5版。それだけ、現場で使われていて、いろいろな疑問や課題が出てきているということだと思います。
ガイドラインでは、増築や用途変更をしようとする建物について、建築士などが法への適合状況を調べる「現況調査」の手順や方法がまとめられています。大きな流れは、次のとおりです。
- 調査1 検査済証の交付状況などの調査
- 調査2 現地調査
- 現況調査報告書の作成 → 確認申請で活用
審査する側のひとりごと
検査済証がない建物の相談は、審査の窓口では珍しくありません。「昔のことなので、わからない」と言われることもあります。でも、増築などをするなら、既存部分のことも避けては通れません。
このシリーズでは、審査する側から見た「検査済証がない建物」の話を、少しずつ書いていこうと思います。続きは、また思いついたときに。


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