告示を使えば非常用の照明装置はいらない? 飲食店の個室と「避難経路」の落とし穴

奥に長く続く薄暗い飲食店の店内の写真 審査の現場から

今回のテーマ

 今日も審査の現場から。毎日10分 #6に続いて、非常用の照明装置の話です。「告示を使えば、非常用の照明装置はいらないのでは?」という計画について。

どんな計画だったか

 平屋で、延べ面積150㎡程度の飲食店の計画でした。店の出入口を入るとすぐにオープンな客席があり、その奥に個室があります。

 飲食店は法別表第一(い)欄(四)項の特殊建築物なので、令第126条の4により、居室と、居室から地上に通ずる廊下などの通路には、原則として非常用の照明装置が必要です。

 ここで、こう考えたくなります。「個室から出入口までは歩行距離30m以下。だから告示を使えば、非常用の照明装置は設置しなくてもいいのでは?」

告示を確認しよう

 令第126条の4第4号には、「避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないもの」などで国土交通大臣が定めるものは、非常用の照明装置を設けなくてよいとされています。その中身を定めているのが、平成12年建設省告示第1411号です。

平成12年建設省告示第1411号(抜粋)

建築基準法施行令(以下「令」という。)第百二十六条の四第四号に規定する避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものは、次の各号のいずれかに該当するものとする。

一 令第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室及びこれに類する建築物の部分(以下「居室等」という。)で、次のイ又はロのいずれかに該当するもの

イ 避難階に存する居室等にあっては、当該居室等の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離が三十メートル以下であり、かつ、避難上支障がないもの

(以下略)

 たしかに、避難階にあって、屋外への出口まで歩行距離30m以下なら、設置しなくてよいと書いてあります。でも、よく読むと気をつけたい点が2つあります。

落とし穴1:逃げられるのは「居室」だけ

 告示で設置しなくてよいとされているのは、そもそも「居室」(居室等)です。居室から地上に通ずる廊下などの通路まで、まとめて不要になるわけではありません。

 さらに、居室であっても、避難経路として使っている部分には非常用の照明装置が必要です。今回の計画なら、奥の個室から出入口へ逃げるとき、手前のオープンな客席を通ることになります。その客席は、個室の人にとっての避難経路です。だから、その部分には非常用の照明装置を設ける必要があります。

落とし穴2:採光に有効な窓があること

 もう一つ、告示の第1号は「令第116条の2第1項第1号に該当する窓その他の開口部を有する居室」が前提です。これは、採光に有効な部分の面積が床面積の20分の1以上ある窓などのことです。

 飲食店の個室は、窓がなかったり小さかったりすることもあります。歩行距離だけを見て「30m以下だから大丈夫」と判断する前に、窓の条件もあわせて確認しておきたいところです。

どう対応したか

 今回は、避難経路になる部分に非常用の照明装置を設置することを図面に明示してもらいました。

審査する側のひとりごと

 非常用の照明装置は、停電したときにも足元を照らして、安全に避難するための設備です。告示は、小さな居室などで避難上支障がない場合に限って設置を不要にする「例外」であって、設置をできるだけ減らすための抜け道ではありません。

 そして、設置したら終わりではありません。非常用の照明装置には、停電時に点灯するための電池が入っています。いざというときに電池切れで点かない、ということがないように、設置後も自主点検を忘れずに。避難経路への設置とあわせて、ぜひお願いしたいことです。

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