【毎日10分 #5】プレキャストのはりの接合部は複筋ばりじゃなくていい? 答えは令第36条にあった

毎日10分 #5 複筋ばりと令第36条 建築基準法適合判定資格者検定

 毎日10分シリーズ、5日目です。今日は正解しました! ただ、答えにたどり着くまでに法令集をあちこちめくったので、その道のりも含めて記録しておきます。苦手な構造の話です。

今日の問題

問 高さ20mの建築物のプレキャスト鉄筋コンクリートで造られた構造耐力上主要な部分であるはりで2以上の部材を組み合わせるものの接合部は、保有水平耐力計算によって安全性が確かめられた場合においては、複筋ばりとしなくてもよい。

答 ◯

まずは原則:はりは複筋ばり(令第78条)

建築基準法施行令 第78条

構造耐力上主要な部分であるはりは、複筋ばりとし、これにあばら筋をはりの丈の四分の三(臥梁にあつては、三十センチメートル)以下の間隔で配置しなければならない。

 鉄筋コンクリート造の「第6節」にある、はりの仕様規定です。原則として、構造耐力上主要な部分のはりは複筋ばりにしなければなりません。

決め手は令第36条第2項

 問題文に「鉄筋コンクリート」とあるので、最初は第6節ばかりめくっていました。でも、第78条をいくら読んでも「プレキャストなら〜」という例外は書いてありません。決定的なことが書いてあったのは、構造の総則にあたる令第36条第2項でした。

建築基準法施行令 第36条第2項(抜粋)

法第二十条第一項第二号イの政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準を除く。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造方法を用いることとする。

一 第八十一条第二項第一号イに掲げる構造計算によつて安全性を確かめる場合 この節から第四節の二まで、第五節(中略)、第六節(第七十三条、第七十七条第二号から第六号まで、第七十七条の二第二項、第七十八条(プレキャスト鉄筋コンクリートで造られたはりで二以上の部材を組み合わせるものの接合部に適用される場合に限る。)及び第七十八条の二第一項第三号(中略)を除く。)、第六節の二、第八十条及び第七節の二(中略)の規定に適合する構造方法

 「第81条第2項第1号イに掲げる構造計算」が保有水平耐力計算です。保有水平耐力計算で安全性を確かめる場合は、第6節の仕様規定のうち、かっこ書きで除かれたものは適用しなくてよい。そのリストの中に、プレキャストのはりの接合部に適用される場合の第78条が入っています。だから答えは◯です。

 ちなみに、問題の建物は「高さ20m」です。法第20条第1項第2号の対象になる鉄筋コンクリート造は「高さが20mを超える」ものなので、ちょうど20mの建物は第3号の建築物になります。それでも、第3号のロで「前二号に定める基準のいずれかに適合すること」も認められているので、第2号の基準(保有水平耐力計算)を使うことができます。高さの数字は、ここで引っかけるためのものかもしれませんね。

そもそも「複筋ばり」ってどんなもの?

 今日の問題を解きながら、「複筋ばりって、ちゃんと説明できるかな?」と不安になったので、整理しておきます。

単筋ばり複筋ばり
主筋の位置引張側(ふつうは下端)だけ上端と下端の両方
考え方引っ張られる側だけ鉄筋で補強する引張側に加えて、圧縮側にも鉄筋を入れる

 コンクリートは押される力(圧縮)には強いけれど、引っ張られる力(引張)には弱い材料です。そこで、はりの引っ張られる側に鉄筋を入れて補強します。引張側だけに鉄筋を入れたものが単筋ばり、上下両方に入れたものが複筋ばりです。

 建築物のはりが複筋ばりでなければならない理由は、次のように考えると理解しやすいと思います。

  • 地震の揺れは行ったり来たり:地震のときは、はりに右回り・左回りの力が交互にかかります。下が引っ張られる場面もあれば、上が引っ張られる場面もあるので、上下どちらにも鉄筋が必要です。
  • 粘り強くなる:圧縮側にも鉄筋があると、コンクリートが先に押しつぶされにくくなり、壊れるまでにしっかり変形できる(ねばりのある)はりになります。
  • たわみを抑える:長い年月で少しずつ進むたわみ(クリープ)を抑える効果もあります。
  • あばら筋を留める骨組みになる:上下の主筋があるから、あばら筋(はりを巻くように入れる鉄筋)をしっかり配置できます。第78条が複筋ばりとあばら筋をセットで定めているのも、このためだと考えると納得です。

なぜプレキャストの接合部は例外なの?

 プレキャスト鉄筋コンクリートは、工場で作った部材を現場で組み合わせる工法です。部材と部材をつなぐ接合部では、鉄筋をはりの中のように連続させるのが難しい場合があります。そのため、接合部で仕様規定どおりの複筋ばりの形にできないこともあります。

 そこで、保有水平耐力計算という高度な構造計算で建物全体の安全性を確かめた場合に限って、接合部には第78条を適用しなくてもよい、という仕組みになっているわけです。仕様規定で決めるか、計算で確かめるか。構造の規定は、この2本立てでできているんですね。

今日の気づき

 「鉄筋コンクリート造」と書かれていると、つい第6節だけを探してしまいます。でも、仕様規定の適用除外は、第6節ではなく令第36条にまとめて書いてあります。

 構造の問題で「〜の計算によって安全性が確かめられた場合においては、〜としなくてもよい」という形が出てきたら、まず令第36条を開く。これを次からの合言葉にします。構造は苦手ですが、条文の「地図」が少しずつ頭の中にできてきた気がします。

 今日の10分、おしまい。また明日。

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