昨日の#11は用語の定義でしたが、今日は「行政の権限」の問題です。結果は正解。……ですが、正直に言うと消極的な正解でした。
今日の問題
問 建築監視員は、指定構造計算適合性判定機関に対して、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。
答 ◯
消極的な正解だった
試験中、この選択肢の根拠になる条文を見つけられませんでした。でも、ほかの選択肢が明らかに誤りだったので、「これが正しいはず」と判断。いわゆる消去法です。
点数は同じでも、次に同じ問題が出たときに自信を持って選べるように、今日は条文をしっかり確認しておきます。
条文を確認しよう
建築基準法 第12条第5項
特定行政庁、建築主事等又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関
三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
第12条第5項の主語に「建築監視員」が入っていて、報告を求める相手の第3号に「指定構造計算適合性判定機関」があります。答えは◯です。
見つけられなかった理由を考えると、「建築監視員」は第9条の2で探していて、第12条(報告・検査等)まで頭が回らなかったからだと思います。報告を求める権限は、第12条にまとめて書かれている、と覚えておきます。
そもそも建築監視員とは
建築監視員は、特定行政庁が市町村や都道府県の職員の中から命じる人です。違反建築物に対して、特定行政庁に代わって現場ですぐに対応する役割があります。
建築基準法 第9条の2(建築監視員)
特定行政庁は、政令で定めるところにより、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、前条第七項及び第十項に規定する特定行政庁の権限を行なわせることができる。
建築監視員が行えるのは、第9条の「第7項」と「第10項」の権限です。その中身はこちら。
建築基準法 第9条(抜粋)
7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
10 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。(以下略)
建築監視員ができることの特徴は「緊急」
第7項と第10項に共通するのは、「緊急の必要がある」ときに、通常の手続(通知や意見の聴取など)によらないで出せる命令だということです。
| 特定行政庁 | 建築監視員 | |
|---|---|---|
| 是正命令(第9条第1項) 除却、移転、改築、使用禁止など | ◯ | ✕ |
| 仮の使用禁止・使用制限の命令(第9条第7項) | ◯ | ◯ |
| 工事の施工停止の命令(第9条第10項) | ◯ | ◯ |
| 報告を求める(第12条第5項) | ◯ | ◯ |
| 物件の提出、立入検査(第12条第6項・第7項) | ◯ | ◯(第9条第10項の施行に必要な限度) |
除却や改築などの重い命令(第9条第1項)は、手続をきちんと踏んで特定行政庁が出すもの。#4の記事で整理した特定行政庁の命令とあわせて読むと、違いがわかりやすいと思います。
一方、建築監視員は、違反工事が進んでいる現場で「とりあえず止める」ための権限を持っている、とイメージすると覚えやすいです。だから、その判断に必要な報告を求めたり、現場に立ち入ったりする権限もセットになっています。
ちなみに、建築監視員になれるのは、3年以上の建築行政の実務経験がある人、建築士で1年以上の建築行政の実務経験がある人などです(施行令第14条)。
今日の気づき
消去法で正解できたのはラッキーでしたが、条文を探せなかったのは反省点です。
今日のポイントは、建築監視員ができるのは「緊急」の権限(第9条第7項・第10項)→ 報告を求める権限は第12条第5項 → 相手には指定構造計算適合性判定機関も入る。「監視員=現場でとりあえず止める人」とイメージして覚えることにします。
今日の10分、おしまい。また明日。


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