毎日10分シリーズ、4日目です。今日は特定行政庁が出す「命令」の問題。似た条文が並んでいるところで、また引っかかりました。
今日の問題
問 特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途が公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得ることなく、当該建築物の所有者に対して、相当の猶予期限を付けて当該建築物の除却を命ずることができる。
答 ×
ポイント:「公益上著しく支障」は議会の同意が必要
建築基準法 第11条第1項
特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。
「公益上著しく支障がある」場合の命令は、法第11条です。この命令は、市町村の議会の同意を得た場合に限り出すことができます。問題文の「議会の同意を得ることなく」が誤りなので、答えは×です。
なぜ議会の同意が必要なのか
第11条のかっこ書きをよく読むと、対象は「第3条第2項の規定により第3章の規定(中略)の適用を受けないもの」に限られています。つまり、建てたときは適法だったけれど、その後の法改正や都市計画の変更で今の規定に合わなくなった、いわゆる既存不適格の建築物です。
違反しているわけではない建物に対して、公益のために除却などを命じる。所有者にとっては、何も悪いことをしていないのに財産を失うことになります。だから、議会の同意という重い手続きが必要で、市町村は損害を時価で補償しなければならないんですね。
特定行政庁の命令、3つのパターン
特定行政庁が建築物の除却などを命じる規定には、いくつかのパターンがあります。並べてみると違いがはっきりします。
| 条文 | どんな建築物? | 議会の同意 | 補償 |
|---|---|---|---|
| 第9条 | 建築基準法令などに違反した建築物 | 不要 | なし |
| 第10条 | 劣化が進み、放置すれば著しく保安上危険になるおそれがある既存不適格建築物など(第1項で勧告、第2項で命令)。著しく保安上危険な既存不適格建築物には直接命令も(第3項) | 不要 | なし |
| 第11条 | 公益上著しく支障がある既存不適格建築物 | 必要 | 市町村が時価で補償 |
第9条は違反、第10条は危険、第11条は公益。そして、第11条だけが「議会の同意」と「補償」という、特別な手続きを持っています。
今日の気づき
特定行政庁が命じることができるものには、「この法令に違反した」「劣化が進み、放置すれば著しく保安上危険」「公益上著しく支障がある」などのパターンがあります。問題文のキーワードがどれに当たるかを見極めないと、条文を取り違えてしまいます。
次からは、「公益上著しく支障」と出てきたら、第11条・議会の同意・補償の3点セットを思い出すことにします。違反でも危険でもない建物に命令を出すからこそ、手続きが重くなる。理由とセットで覚えると、忘れにくくなりそうです。
今日の10分、おしまい。また明日。


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