今回のテーマ
今日も審査の現場から。車庫の新築の確認申請で、「敷地」について設計者さんとやりとりした話です。
車庫の申請が来たら、まず周りを見る
ある日、車庫を新築する確認申請がありました。車庫は、ほとんどの場合が一戸建ての住宅に附属する建築物です。そこで、敷地の周りに一戸建ての住宅がないかをチェックしました。
案の定、隣に一戸建ての住宅がありました。しかもその住宅は建築中で、まだ完了検査が終わっていません。
そこで、指摘事項として次の2点を伝えました。
- 隣接する一戸建ての住宅と、用途上可分かどうか
- 用途上不可分の場合は、一戸建ての住宅の計画変更として整備すること
設計者さんの言い分
すると、設計者さんからはこんな答えが返ってきました。
「住宅は住宅メーカーの設計・施工で、うちは車庫だけを請け負っています。だから確認申請は別に出したい。敷地も分けます。」
気持ちはわかります。会社が違えば、図面も契約も工程も別々です。でも、それは建築基準法の「敷地」の考え方とは別の話なんです。
条文を確認しよう
建築基準法施行令 第1条第1号
敷地 一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。
これが、いわゆる「一敷地一建築物」の考え方です。一つの敷地には一つの建築物が原則です。ただし、用途上不可分の関係にある建築物どうしは、同じ一つの敷地にまとめて扱います。
一戸建ての住宅と、その住宅で使う車庫は、ふつう用途上不可分です。住宅がなければ、その車庫は使われませんよね。だから、住宅と車庫は同じ敷地として扱うことになります。
つまり、敷地は契約や請負の単位で決まるものではありません。建築物の使われ方で決まります。「申請を別にしたいから敷地を分ける」という順番は、逆になってしまっているのです。
どう対応したか
住宅はまだ工事中で、完了検査も終わっていません。そこで、次のどちらかで進めてもらうよう説明しました。
- 住宅の完了検査が終わってから、車庫を増築として確認申請する
- 住宅の計画変更に、車庫を含める
どちらにしても、住宅と車庫を「同じ敷地にある建築物」として扱うことに変わりはありません。違うのは、手続きのタイミングと、誰が申請をまとめるかです。
審査する側のひとりごと
車庫を施主さんが別の会社に発注するのは、珍しいことではありません。住宅メーカーは住宅、車庫やカーポートは地元の工務店やエクステリア屋さん、というのはよくある形です。
だからこそ、住宅の工事監理者には、住宅が正しく完了検査を受けられるように調整してほしいと思います。中間検査を忘れた現場の話でも書きましたが、監理者は施工者とは別の立場で、工事全体を見る役割です。
そして、施工者さんと施主さんに、「当初の計画から変更がある場合には、どんな手続きが必要になるのか」をしっかり伝えてもらいたい。車庫を後から追加するだけでも、住宅の手続きに影響することがあります。それを知っているかどうかで、工事の段取りも完了検査のスケジュールも大きく変わります。
施主さんから見れば、住宅も車庫も「わが家」の一部です。手続きの都合で振り回されないように、関わる人たちがつながっていてほしいなと思います。


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