戸建てを宿泊施設にしたい! 200㎡以下なら何もしなくていい? 用途変更と旅館業の新しい通知

夜、明かりが灯る日本家屋と庭の写真 審査の現場から

今回のテーマ

 今日は審査の現場から、「用途変更」の話です。最近受けた相談は、こんな内容でした。

「一戸建ての住宅を購入して、宿泊施設を始めたい。何か手続きは必要ですか?」

 空き家を活用して宿泊施設にする、という話は最近よく耳にします。旗竿地の記事でも空き家の相談を取り上げましたが、今回は「使い方を変える」ときのルールです。

用途変更とは

 建物の使い方(用途)を変えることを「用途変更」といいます。一戸建ての住宅を宿泊施設(ホテル・旅館、簡易宿所など)にするのは、まさに用途変更です。

 建築基準法第87条では、建物の用途を変更して、第6条第1項第1号の特殊建築物にする場合に、確認申請の規定を準用するとしています。そして、第6条第1項第1号の特殊建築物とは、これです。

建築基準法 第6条第1項第1号

別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

 ホテルや旅館は、別表第一(い)欄の特殊建築物です。だから、宿泊施設にする部分の床面積が200㎡を超える用途変更には、確認申請が必要です。

200㎡を超える場合:確認申請で審査がある

 確認申請が必要な場合は、審査があります。宿泊施設として必要な防火や避難などのルールに合っているかを確認するので、改修が必要なら、法に適合するように計画されることになります。

200㎡以下なら、何もしなくていい?

 では、規模が小さくて確認申請の手続きがいらない場合は、何もしなくていいのでしょうか。答えは「そうではない」です。

 令和8年5月28日付けで、国(厚生労働省と国土交通省)から「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」という通知が出ています。

旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について(通知)(令和8年5月28日 健生衛発0528第1号・国住指第164号)(抜粋)

一戸建て住宅・共同住宅からホテル・旅館(簡易宿所を含む。)へ用途変更する場合、用途変更する床面積の合計が200m²を超えるものは、用途変更後の建築基準関係規定への適合を確認するため建築確認手続きが必要となります。また、用途変更する床面積の合計が200m²以下のものは、建築確認手続きが不要となりますが、用途変更後の建築基準関係規定への適合は必要となります。

 確認申請が不要でも、建築基準法などの建築基準関係規定には適合させなければならない。そして、その確認を、旅館業の許可のときに求めることになりました。

同通知(抜粋)

衛生主管部局は、旅館業の許可時に用途変更後の建築基準関係規定への適合確認をするため、以下の①又は②の書類を求めてください。

①用途変更する床面積の合計が200m²を超える場合
・用途変更に係る確認済証

②用途変更する床面積の合計が200m²以下の場合
・建築基準関係規定に適合している旨の建築士による証明書

まとめ:一戸建ての住宅を宿泊施設にするとき

宿泊施設にする部分の床面積確認申請旅館業の許可のときに求められる書類
200㎡を超える必要用途変更に係る確認済証
200㎡以下不要建築基準関係規定に適合している旨の建築士による証明書

 どちらの場合も、建築基準法のルールに適合させる必要があることに変わりはありません。違うのは、それを「確認申請の審査」で確かめるのか、「建築士の証明」で確かめるのか、という点です。

 なお、宿泊施設を始めるには、旅館業法の許可(保健所)や、消防法の手続き(消防署)も必要になります。

審査する側のひとりごと

 「200㎡以下なら確認申請はいらない」。これは正しいのですが、そこから「だから何もしなくていい」と考えてしまうのは間違いです。物置の記事でも書いたとおり、確認申請が不要でも、法に適合させなければならない。手続きがいらないことと、ルールを守らなくていいことは、まったく別の話です。

 住宅だった建物に、知らない人が泊まる。宿泊する人は、その建物の階段や出口の場所をよく知りません。だからこそ、宿泊施設には住宅とは違うルールがあります。今回の通知で、確認申請のいらない小さな宿泊施設でも、建築士さんがきちんとチェックするしくみになりました。泊まる人の安全のために、大切な一歩だと思います。

 空き家を宿泊施設にしようと考えたら、まずは建築士さんへの相談とともに、保健所、消防にも相談を。それがいちばんの近道です。

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